地の底に滞った熱が、大地の表面へ絶えずせり上がってくる。
沸き立つ泉が青と橙の輪を描き、白い蒸気が高原の風にほどけていく。
人がその働きに手を触れず守ろうと定めた、世界で最初の国立公園である。
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地の底が近い場所
この一帯は、地下に滞るマグマだまりの真上に広がっている。地表からわずか数キロの深さに熱源が控え、しみ込んだ雪解け水を熱してはふたたび押し上げる。今のくぼ地は、約63万年前の巨大な噴火が残した陥没の跡である。
熱せられた水は、割れ目を伝って地上へ戻る道筋ごとに姿を変える。水柱を上げる泉、透きとおる温泉、泥を煮立たせる泥泉、湯気を吐く噴気孔。世界に知られる間欠泉の、およそ半分がこの一帯に偏っている。

囲って守られた原野
これほどの熱水現象が1か所に凝縮した例は、地球上でほかに知られていない。湧き立つ奇景の報せは当初信じられず、作り話として退けられた。1872年、この地は私有を許さず後世へ残すと法に定められ、自然を丸ごと守る考えがここで生まれた。
こうした地熱の景観と並んで、この地には温帯で数少ない、ほぼ手つかずの生態系が残る。野生のバイソンが今も草原を渡り、20世紀末に呼び戻された狼が捕食者の連なりを再びそろえた。ラマーやヘイデンの谷では、その営みを遠くから追える。

湯気の中をたどる
木道に足を乗せると、地面の割れ目から白い蒸気が吹き出し、硫黄のにおいが鼻をかすめる。眼下の大きな泉は中心の深い青から縁の橙へ色を移し、立ちのぼるもやが刻々と視界をぼかす。風向きが変わるたび、対岸の人影が霞に呑まれては現れる。
公園の東寄りでは、川が黄土色の岩壁を刻み、落差90メートルの滝が谷へ轟き落ちる。展望地に立てば、水音だけが岩肌に返る。夜明けの草原には草食獣が散らばり、斜面を望遠鏡で追うと狼の影がよぎる。夏でも朝の空気は冷たく、標高が肌で分かる。
日本からの行き方
イエローストーンの玄関口は、モンタナ州のボーズマンやワイオミング州のジャクソンの地方空港になる。日本からの直行便はなく、シアトルやソルトレイクシティで一度乗り継ぐ。西海岸から国内線で内陸へ飛ぶため、片道はおおむね1日がかりの旅路になる。
園内の道路の多くは雪で冬季に閉ざされ、車で入れるのはおおむね4月下旬から11月初めまでに限られる。冬に開くのは北側の一部だけで、その先は雪上車に頼ることになる。夏は道も施設もそろって開くが、7月と8月は最も混み合う。
入場と予約
公園の出入りに時間枠の予約はいらない。入園料は乗用車1台につき7日間有効で35ドル、16歳以上の非居住者にはさらに1人100ドルが加わる。支払いは各入口や事前のオンラインで済ませられ、当日そのまま入園できる。
訪問時の留意点
- 持ち込み小型無人機(ドローン)の持ち込みと飛行は公園全域で認められていない。景観の撮影を目的とする場合も対象となる。
健康と安全
最も注意すべきは熱水地帯の地面である。薄い地殻の下が高温の湯になっている場所があり、木道や歩道を外れてはならない。クマやバイソンなどの野生動物とは距離を保ち、クマ除けスプレーを携えて歩きたい。園内には診療所があり、マンモス地区の施設は通年、他は主に夏に開く。
現地の設備
広い園内の主要な分岐点には、山小屋風の宿と食堂、売店、給油所がまとまって置かれ、おおむね晩春から秋にかけて営業する。客室は限られ夏は数か月前に埋まるため、早めの予約が要る。門前のウェストイエローストーンやガーディナーにも宿と食事処がそろう。
モデル日程
イエローストーン8日の一例。玄関都市から入り、途中でグランドティトンを経て、公園内での連泊を旅の核に据える。
- 往路 1日
- グランドティトン 1日
- イエローストーン 4日
- 帰路 2日
内訳
往路
グランドティトン
イエローストーン
帰路
主要旅行会社の同方面ツアーに見られる標準的な組み立ての一例。日数・順序は商品により異なる。














































