アンデス内陸高地に広がる、世界でいちばん平らな白の大地。
雨季の薄い水膜は空を映し、天地の境界をやわらかく解いていく。
太古の湖が蒸発した跡に塩床だけが残り、空とその反射のあいだに広がる地である。
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太古の湖が残した塩床
太古のアンデス内陸盆地には、塩分を含む古代湖が幾度も広がっては乾いていった。地殻変動で外洋への流路を絶たれた水は、長い乾期のあいだに少しずつ蒸発し、石膏混じりの厚い結晶層を盆地の底へ沈めていった。
現在の塩床は数メートルの厚みで盆地の底を覆い、地表には六角形の継ぎ目が地平線の彼方まで延びる。標高3650メートルの高地にあるため空気は薄く乾き、湿った気団の通過が限られた季節にだけ、地表へ薄い水を残していく。

天空を映す鏡
面積は10,582平方キロメートル、世界最大級の塩湖でありながら、起伏の差は全域で数十センチに収まる。この極端な平坦さが、雨季の浅い水を撓まぬ薄膜に変え、空をそのまま地表へ貼り付ける固有の鏡面を成立させる。
乾季には亀甲状の結晶模様が乾いた白として果てまで連なり、雨季には数センチの水膜が一帯を覆って水と空の境界が解ける。地下に眠るリチウムの埋蔵量は世界有数とされるが、訪れる者の目に映るのは反射光と塩の表層だけの広漠な眺めである。

白の中に立つ
乾季の日中、強い陽光が塩床から跳ね返って視界一面を白の明度に塗り潰し、立つ者の遠近感覚は次第に薄れる。輪郭の手掛かりは遠くに並ぶ低い山影と、足元の塩面に走る浅い割れ目だけになり、歩幅と影だけが距離の尺度として残る。
雨季の薄明には、空のすべてが足元に降りてくる。雲の影も夕焼けの橙も星明りも、上下2つの天として立つ者を挟む。夜半に風がやむと水面は完全に静まり、星座は地に揺らがず留まる。視線の上下が入れ替わり、立つ位置の感覚が遠のいていく。
日本からの行き方
ボリビアへの直行便はなく、北米のロサンゼルスやダラス、またはメキシコシティを経由してリマやラパスへ向かうのが一般的だ。乗り継ぎを重ね、片道はおよそ二日がかりの旅路となる。首都ラパスからウユニへは、さらに国内線で約1時間の道のりとなる。
マチュピチュやクスコ、リマを擁する隣国ペルーと併せて巡る周遊が多く、二つの絶景を一度に訪ねる行程が好まれる。鏡張りの湖面が広がるのは雨季の12〜4月、白い大地と青空のコントラストは乾季の4〜11月で、訪れる時期によって景観が大きく変わる。
健康と安全
ウユニ塩湖は標高3,650メートル前後の高地にあり、急性高山病への備えが要る。外務省の医療情報も高地順応の重要性を挙げており、低地の街に滞在して段階的に高度を上げる行程が基本となる。設備の整った医療機関はラパスなど大都市に偏り、地方では限られる。
現地の設備
拠点となるウユニの町には、ホテルやレストラン、土産物店、日用品を扱う商店や市場が揃い、両替や現金の用意もここで整う。塩で築かれた塩のホテルは塩湖の縁に点在する。塩原での食事や休憩は、町やホテル、ツアー側の手配を通じて確保するのが基本となる。
モデル日程
ペルー併訪周遊10日の一例。往復の移動に各2日、クスコでの高地順応とウユニ塩湖の連泊を核に、マチュピチュを前半に挟む。
- 移動 2日
- 高地順応 1日
- マチュピチュ 2日
- 移動 1日
- ウユニ塩湖 2日
- 帰路 2日
内訳
往路
高地順応
マチュピチュ
移動
ウユニ塩湖
帰路
主要旅行会社の同方面ツアーに見られる標準的な組み立ての一例。日数・順序は商品により異なる。














































