ヴルタヴァが大きく蛇行する内側に、橙の屋根が密に集う古い町である。
川面に石橋の影が落ち、丘の城塔と街の鐘楼が同じ風を受けて立っている。
7世紀続いた領主家の意匠が、街区のかたちのまま残る南ボヘミアの古都。
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川の輪に抱かれた町
ヴルタヴァ川がボヘミア南部の丘陵を抜ける途中で急角度に蛇行を二度繰り返し、向き合うように残した二つの台地に、町は分かれて据えられている。Ω字に折れた水流が外堀を兼ね、外側から街区の輪郭をそのまま彫り出した。
13世紀、領主ヴィートコフ家が高い岩盤の側に城を、対岸の半島状の地に市場を置いた。以後はローゼンベルク家、エッゲンベルク家、シュヴァルツェンベルク家へと領主が継承され、街区の骨組みは中世以来の区画をほぼ崩していない。

ボヘミア宮廷意匠の堆積
城は岩盤の尾根に沿って細長く伸び、五つの中庭が段差を継ぎながら奥へとつながる。ゴシック期の砦に始まり、ルネサンス期の壁面装飾と、エッゲンベルク家が建てた木造劇場が加わり、宮廷の流行が更新されるたびに新たな層が積み足された。
旧市街の家々の壁面には、灰色のスグラフィット技法による石材模様や、寓意画の意匠が薄く残されている。バロック期の彩色の下からゴシック期の石窓が顔を出し、増改築の重なり方が、町の歴史そのものを外壁の表層に晒している。

橋と川とかがり火
朝のうち、旧市街には川面から立ち昇る靄が低く降りて、坂の石畳と家々の腰板は湿りを帯びる。市場広場へ抜ければ行商の声と教会の鐘が同時に響き、修復の足場を組む職人の槌音が、川を渡って対岸の城丘の麓まで届いていく。
夕刻、対岸の高みから旧市街を見下ろすと、橙の屋根が川の輪に縁取られて沈んでいく。夏のヴルタヴァには筏下りの櫂音が橋桁の下を抜け、夜のかがり火が水面を撫でる頃には、小路の家々の窓から飴色の灯がぽつりぽつりと漏れはじめる。
日本からの行き方
日本からチェコへ向かう直行便はなく、フランクフルトやヘルシンキ、イスタンブールなどヨーロッパの主要都市で一度乗り継いで首都プラハへ入るのが一般的だ。片道はおよそ一日がかりの旅路となるため、到着初日はゆとりをもった日程を見込んでおきたい。
プラハからチェスキー・クルムロフへは、長距離バスでおよそ三時間。便数は比較的多く、早い時間に発てば日帰りも難しくないが、夕暮れの静けさに包まれる町を味わうなら一泊を添えたい。訪れるなら、緑が深まり気候の落ち着く初夏から初秋がおだやかだ。
入場と予約
旧市街と城の中庭・庭園は自由に歩けるが、城内部の見学はガイド付きツアーのみで、時間枠を選んで入る方式となる。内部見学はおおむね4月から10月の開館で、夏季や英語ツアーは枠が埋まりやすい。公式サイトで希望の日時を事前に予約しておくと当日券売場に並ばずに済む。
訪問時の留意点
- ガイド城内部の歴史的居室は公認ガイドの案内によるツアーでのみ立ち入れ、単独での見学はできない。
モデル日程
中欧周遊8日の一例。往復の移動に各2日、プラハ連泊を起点にクルムロフへ一泊で立ち寄り、ウィーンから先へ周遊を続ける。
- 移動 2日
- プラハ 2日
- クルムロフ 1日
- ウィーンへ 1日
- 帰路 2日
内訳
往路
プラハ
クルムロフ
ウィーンへ
帰路
主要旅行会社の同方面ツアーに見られる標準的な組み立ての一例。日数・順序は商品により異なる。














































