北極圏の海から鋭く突き上がる、太古の岩塊と漁村の群島。
暖流が冬を凪に保ち、極北の光が水と岸をひといきに染めていく。
1000年続いた乾鱈の道が、波打ち際から今も沖へ伸びている。
ヨーロッパ
北アメリカ
大陸を覆う氷床が、海へと崩れ落ちる西グリーンランドの入り江。
湾を埋めた氷山が軋みながら向きを変え、白夜の光にふちを染める。
数千年の人の営みも、氷が刻む時間の前では束の間にすぎない。
地の底に滞った熱が、大地の表面へ絶えずせり上がってくる。
沸き立つ泉が青と橙の輪を描き、白い蒸気が高原の風にほどけていく。
人がその働きに手を触れず守ろうと定めた、世界で最初の国立公園である。
南アメリカ
どの大陸からも遠く隔たった、南太平洋にぽつりと浮かぶ火山島。
絶えず吹き渡る潮風が草の斜面を撫で、巨像の肩を静かに洗っていく。
海に背を向けた石の人影だけが、忘れられた時間をそのまま留める地である。
赤道の真下に、大陸とつながったことのない火山島が点々と連なる。
冷たい海流が暖かい水を貫き、ペンギンと爬虫類が同じ岩で陽を浴びる。
どこの理にも属さぬまま、生きものが独りで進んできた島々である。
国境を跨ぐ熱帯雨林の奥で、川幅すべてが断崖から落ちている。
水煙は一日中立ちのぼり、虹は谷を斜めに渡って消えていく。
大地が裂けたまま、水は今もその縁から落ち続けている。
砂と水だけが続く、ブラジル北東の海辺に開けた白い砂丘の原。
雨季の終わりに窪地が満ち、砂丘のあいだへ翠の浅い湖が無数に灯る。
風の運ぶ白砂と季節の連れてくる水が、年ごと描き直す眺めである。
南パタゴニアの果てに、氷河が今も前へ動き続ける一帯がある。
青白い氷壁から塊が剥がれ、湖面に低く落ちて谷へ余韻を残す。
氷原と尖峰、二つの極が一つの国立公園の中に並んで横たわる。
アンデス内陸高地に広がる、世界でいちばん平らな白の大地。
雨季の薄い水膜は空を映し、天地の境界をやわらかく解いていく。
太古の湖が蒸発した跡に塩床だけが残り、空とその反射のあいだに広がる地である。
アフリカ
カラハリの乾いた大地に、行き場を失った川が静かに広がっていく。
遠いアンゴラの雨を記憶した水が、半年の遅れをまとって砂漠を満たす。
海へ届かぬ川がたどり着いた終点に、水と命の迷路が浮かんでいる。
赤道直下の高原に、果てを持たぬ短草の海原が広がっている。
百万を超える有蹄類が、雨を追って円を描きながら年ごとに移動を重ねていく。
地と空のあいだだけで、生と死の循環が今も尽きずに繰り返されている。
アフリカ大地の裂け目に、川そのものが落ち、雷のような響きが立ち昇る。
立ち上がる白い噴霧は数百メートルの高さに達し、地上に逆さの雨を降らせている。
土地の人々はこれを古くからモシ・オ・トゥニャ、雷鳴轟く煙と呼んできた。











