北極圏の海から鋭く突き上がる、太古の岩塊と漁村の群島。
暖流が冬を凪に保ち、極北の光が水と岸をひといきに染めていく。
1000年続いた乾鱈の道が、波打ち際から今も沖へ伸びている。
ヨーロッパ
北アメリカ
ロッキーの懐に沈黙して横たわる、青緑の湖と亜寒帯の針葉樹林。
氷河の融け水が岩の粉を運び、湖面の色をやわらかく澄ませていく。
カナダが自らの名で最初に守ると定めた、北のロッキー山脈の一画である。
ユカタンの乾いた石灰岩平原に、四角い影を落として立つ石の聖都。
春と秋の夕、傾いた光が階段の縁をなぞり、蛇の影が地へ降りていく。
天文を石に刻んだマヤの祈りが、1000年を越えていまも静まり返る。
大陸を覆う氷床が、海へと崩れ落ちる西グリーンランドの入り江。
湾を埋めた氷山が軋みながら向きを変え、白夜の光にふちを染める。
数千年の人の営みも、氷が刻む時間の前では束の間にすぎない。
地の底に滞った熱が、大地の表面へ絶えずせり上がってくる。
沸き立つ泉が青と橙の輪を描き、白い蒸気が高原の風にほどけていく。
人がその働きに手を触れず守ろうと定めた、世界で最初の国立公園である。
南アメリカ
どの大陸からも遠く隔たった、南太平洋にぽつりと浮かぶ火山島。
絶えず吹き渡る潮風が草の斜面を撫で、巨像の肩を静かに洗っていく。
海に背を向けた石の人影だけが、忘れられた時間をそのまま留める地である。
国境を跨ぐ熱帯雨林の奥で、川幅すべてが断崖から落ちている。
水煙は一日中立ちのぼり、虹は谷を斜めに渡って消えていく。
大地が裂けたまま、水は今もその縁から落ち続けている。
砂と水だけが続く、ブラジル北東の海辺に開けた白い砂丘の原。
雨季の終わりに窪地が満ち、砂丘のあいだへ翠の浅い湖が無数に灯る。
風の運ぶ白砂と季節の連れてくる水が、年ごと描き直す眺めである。
アンデスの尾根に石組のまま残された、雲上の小さな都。
霞が麓から立ち昇り、段々畑の縁を撫でて稜線を渡っていく。
インカが15世紀に標高2400メートルの稜へ刻んだ、石と空のあいだの場所である。
アンデス内陸高地に広がる、世界でいちばん平らな白の大地。
雨季の薄い水膜は空を映し、天地の境界をやわらかく解いていく。
太古の湖が蒸発した跡に塩床だけが残り、空とその反射のあいだに広がる地である。
アフリカ
見渡すかぎり広がるサバンナの地平から、ただ独りせり上がる白い頂。
朝焼けが山頂の雪を淡く染め、裾野の湿原を象の群れが静かにゆく。
赤道直下に雪を戴いてそびえ立つ、標高5895m・アフリカ大陸の最高点。
赤道直下の高原に、果てを持たぬ短草の海原が広がっている。
百万を超える有蹄類が、雨を追って円を描きながら年ごとに移動を重ねていく。
地と空のあいだだけで、生と死の循環が今も尽きずに繰り返されている。











