アンデス内陸高地に広がる、世界でいちばん平らな白の大地。
雨季の薄い水膜は空を映し、天地の境界をやわらかく解いていく。
太古の湖が蒸発した跡に塩床だけが残り、空とその反射のあいだに広がる地である。
南アメリカ
国境を跨ぐ熱帯雨林の奥で、川幅すべてが断崖から落ちている。
水煙は一日中立ちのぼり、虹は谷を斜めに渡って消えていく。
大地が裂けたまま、水は今もその縁から落ち続けている。
砂と水だけが続く、ブラジル北東の海辺に開けた白い砂丘の原。
雨季の終わりに窪地が満ち、砂丘のあいだへ翠の浅い湖が無数に灯る。
風の運ぶ白砂と季節の連れてくる水が、年ごと描き直す眺めである。
ヨーロッパ
北イタリアの空に、淡い灰の岩壁が鋸の歯のように連なっている。
足元には牧草地と教会の尖塔が広がり、上空には太古の珊瑚礁の記憶が立つ。
夕日に染まれば、岩肌は薔薇色に焼け、淡き山々と呼ばれてきた。
カルスト台地の谷底に、16の翠玉色の湖が段をなして連なっている。
苔と藻が水中に石灰華の堰を編み続け、新しい滝がいまも音を立てて立ち上がる。
水と植物と時間が、自らの手で造形を重ね続ける生きた地形である。
アジア
岷山の南斜面、標高2000を超える谷に、青と碧の小さな池々が連なっている。
森の影と空の色を吸い込んだ水面が、石灰の段を越えて次の池へとこぼれてゆく。
秋には岸辺の楓が水に映り、神秘の谷と呼ばれてきた九寨溝の貌が立ち現れる。
北アメリカ
大地が裂けて開いた、深さ1600メートルに及ぶ赤褐色の谷。
コロラド川が幾層もの岩を刻み続け、地球の時間が断面に並ぶ。
20億年の堆積を一望に収める、北アメリカの巨大な裂け目である。
北米大陸の屋根に沈黙して横たわる、青緑の湖と亜寒帯の針葉樹林。
氷河の融け水が岩の粉を運び、湖面の色をやわらかく澄ませていく。
カナダが自らの名で最初に守ると定めた、北のロッキー山脈の一画である。
シエラネバダの深い山懐に、灰白色の断崖が巨大な谷を取り囲んでいる。
雪解けの水は岩棚から放たれ、数百メートルの瀑布となって谷底へ落ちる。
氷河が彫り残した広大な空洞に、光と水の動きだけが充ちている。
アフリカ
モロッコの南東、大砂海の縁に赤い砂丘がそびえる無音の地。
風が稜線の砂を細く流し、朝夕の光が起伏を橙と影に塗り分けていく。
隊商の踏み跡も星のめぐりも呑み込んで、砂だけが静かに横たわる。









