石灰岩の丘の上と麓に、二つの相を負って広がる古い城郭都市である。
赤い円錐屋根の円塔が連なり、白い尖塔が空へ細く伸びていく。
ハンザの商いが刻んだ街区が、中世の輪郭のまま残るバルトの港町。
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丘と麓、二層の町
エストニア北岸、フィンランド湾に臨む石灰岩の丘に町は始まる。1219年、この丘へデンマーク人が城を据え、麓の入り江に人が寄り集まった。町の名は「デンマークの町」を指す古語に発すると伝えられている。
丘の上には司教や騎士が館を構え、麓では商人と職人が住まいを広げていった。13世紀からハンザ同盟の交易で富み、ギルドの会館や商家が広場を囲んで建ち並ぶ。周囲を城壁と物見の塔が巡り、離れて立つ上下の町を一つに束ねた。

崩れずに残る街区
中世の街区が、これほどまとまって残る町は北ヨーロッパでも数少ない。13世紀の道筋と区画をほぼそのまま伝え、権力の宿る上町と商いの下町が一つの輪郭に折り重なる。太い城壁と赤い円塔が、その全体をいまも縁取っている。
町は幾度も主を替え、そのたびに新たな層が街の外へと積み足された。丘の上にはロシア正教会の黒い丸屋根が異国の意匠で立ち、東の庭園にはバロック様式の宮殿が広い花壇を従える。古い核を囲むように、後代の権力がそれぞれの様式を残した。

塔の影と夕明かり
朝の早い時刻、石畳の坂は人影もまばらで、靴音だけが壁のあいだに反響する。丘の展望台に立てば、赤茶の瓦屋根が眼下にひしめき、その先にフィンランド湾の水面が鈍く光る。白い尖塔の影が瓦の連なりへ長く落ちていく。
麓へ下れば、市庁舎広場に露店と人の声が戻り、鐘の音が石畳を渡っていく。日が傾くと、切妻屋根の窓にひとつずつ灯がともり、足元の石が蜜色に沈む。夏は夜半まで空が薄明るく、冬は雪が館の肩に積もって、街はいっそう静まりかえる。
日本からの行き方
日本からタリンへの直行便はなく、フィンランドのヘルシンキを経由するのが一般的だ。ヘルシンキへは成田や羽田から直行便があり、飛行時間はおよそ13時間。フランクフルトやリガなど欧州の主要都市で乗り継ぐ経路も選べる。片道はおよそ一日がかりの旅路になる。
ヘルシンキからタリンへは、フィンランド湾を渡るフェリーで約2時間。便数は多く、日帰りでも訪ねられる。港は旧市街まで徒歩圏で、坂を上れば石畳の街に着く。緑の映える初夏から秋口が歩きやすく、冬は冷え込みと路面の凍結に備えておきたい。
モデル日程
バルト三国周遊8日の一例。南のヴィリニュスから北上し、リガを経て、最北のタリンで城壁の旧市街を2日かけて歩く。
- 移動 2日
- ヴィリニュス・リガ 2日
- タリン 2日
- 帰路 2日
内訳
往路
ヴィリニュス・リガ
タリン
帰路
主要旅行会社の同方面ツアーに見られる標準的な組み立ての一例。日数・順序は商品により異なる。
