インド洋の只中に、丸みを帯びた花崗岩が白砂の渚へ横たわる。
椰子の葉が貿易風に鳴り、透きとおる浅瀬が岩肌を洗っては引いていく。
大陸から遠く隔たれたまま、太古の面影を今にとどめてきた島々である。
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海に残された太古の欠片
セーシェルの群島は、超大陸ゴンドワナの分裂で海に取り残された大陸の欠片だとされる。約7億5000万年前の花崗岩が波間に峰を突き出したもので、火山でも珊瑚礁でもない、大洋では他に類を見ない石の島である。
岩は絶え間ない風雨と潮に磨かれ、角を失って丸みを帯びていった。巨岩の間を白砂が埋め、背後の斜面を緑濃い森が覆う。硬い石と柔らかな緑が同じ浜辺で溶け合う光景が、この群島の空気の底をなしている。

隔たりが育んだ実り
プララン島のヴァレ・ド・メは、世界最大の種子を実らせる椰子ココ・ド・メールの原生林で、ユネスコの世界遺産に数えられる。人の手が入る前の姿を保つ森が谷ひとつ分残り、林床には大きな葉の影が濃く落ちる。
隔絶の中で、大きな甲羅のゾウガメが今も草地をゆっくりと歩み、黒いインコは世界でプララン島にだけ棲む。外の世界から切り離された歳月が固有の生き物を育て、その景色に原初の気配を漂わせている。

渚に流れる遅い時間
朝の浜では、夜のうちに潮が整えた砂の上へ大岩の影が長く伸びる。寄せては返す波は岩に当たって低くくぐもり、梢の葉擦れと重なって、聞こえるのはやがてその二つの音だけになる。裸足の足の裏には、粉のように細かな砂の感触が残る。
日が高くなるにつれ海は青緑の濃淡を深め、夕刻には岩肌がバラ色を帯びて暮れ残る。夜は人工の光が少なく、天の川が水平線の際まで降りてくる。一日の色の移ろいを眺めるだけで時間が満ちていく、そうした滞在の島である。
日本からの行き方
日本からセーシェルへの直行便はない。ドバイやドーハ、アディスアベバなどで乗り継ぎ、マヘ島のセーシェル国際空港へ入る。夜行便を軸に組めば到着はおおむね日本を発った翌日で、片道はおよそ二日がかりの旅路になる。
観光はマヘ島が起点となる。プララン島へは高速フェリーで約1時間または国内線で約15分、ラ・ディーグ島へはプララン島から船で15分ほど。季節風の変わり目の4〜5月と10〜11月は海が穏やかで、島巡りの船も揺れにくい。
健康と安全
セーシェルではデング熱など蚊が媒介する感染症の報告があり、外務省海外安全ホームページが防蚊対策を促している。長袖と虫よけを備えたい。日差しは年間を通して強く、遮光と水分補給が欠かせない。医療はマヘ島の首都ビクトリアにあるセーシェル病院が中心となる。
現地の設備
滞在はマヘ島とプララン島のリゾートやゲストハウスが中心で、食事は宿のほか浜辺のレストランでも賄える。ビクトリアにはスーパー・薬局・銀行がそろい、日用品や現金の補充ができる。ラ・ディーグ島は車が少なく、島内の移動は自転車が主となる。
モデル日程
セーシェル8日の一例。往復の移動に各2日を充て、マヘ島とプララン島に2泊ずつ分けて滞在する島巡りが核心となる。
- 移動 2日
- セーシェル滞在 4日
- 帰路 2日
内訳
往路
セーシェル滞在
帰路
主要旅行会社の同方面ツアーに見られる標準的な組み立ての一例。日数・順序は商品により異なる。
