旅先で体調不良に見舞われたとき、言葉の通じない土地で、どこに電話し、どこへ行き、誰に相談すればいいのか——その一次情報をこのページに集めた。前半は国を問わず共通する動き方、後半は42か国・地域別の緊急番号と受診の入口の早見表である。
緊急番号は外務省 海外安全ホームページ「安全対策基礎データ」を正本とし、受診の入口(医療制度の概要)は外務省「世界の医療事情」(在外公館の医務官による国別解説)など公的情報を基に整理した。各国の欄に出典リンクを添えてある。
現地で体調を崩したときの動き方
命に関わると感じたら、迷わず滞在国の救急番号に電話する(下の早見表。欧州の多くは112が共通)。ホテル滞在中ならフロントに頼むのも早い——住所の説明が要らず、救急車の到着まで人手も確保できる。
緊急でなければ、受診の前に海外旅行保険のアシスタンスデスクへ電話する。24時間日本語で応答し、症状に応じた受診先の案内、キャッシュレス提携病院の紹介、予約や通訳の手配までがサービスの標準である。自己判断で飛び込むより、確実で安く済むことが多い。
軽い不調——喉の痛み、胃腸の乱れ、軽い発熱——なら、薬局が入口になる国が多い。特に欧州では薬剤師が初期相談の窓口を担っており、症状を伝えれば市販薬の範囲で対処法を示してくれる。
緊急番号のかけ方
早見表の番号は、現地で携帯電話からそのままダイヤルすれば繋がる。「+」や国番号は不要だ。現地の緊急番号への通話は原則無料(主要キャリアが明記・一部の国・地域を除く)。
112や911の系統は端末に緊急番号として登録されており、画面が「緊急通報のみ(SOS only)」の表示でも発信できる。ロック画面の「緊急通報」からもかけられ、番号が分からないときはスマートフォンの緊急SOS機能(現在地の国の緊急番号へ自動発信)を使う。
ホテルの固定電話からかける場合は外線発信の番号(0や9など)を先に押す必要があり、慣れない土地ではフロントに取り次いでもらったほうが確実である。LINEなどの通話アプリやIP電話(050番号)からは緊急番号にかけられないため、必ず標準の電話アプリを使う。データ専用SIMで渡航する場合も、日本のSIMを緊急用にローミング可能な状態で残しておくと確実である。
保険とアシスタンスの使い方
海外旅行保険は「入っているか」より「連絡先をすぐ出せるか」が重要である。出発前に必ず証券番号とアシスタンスデスクの直通番号を紙とスマートフォンの両方に控えておく。
キャッシュレス治療は、保険会社の提携病院なら治療費の立替が不要になる仕組みである。提携外の病院にかかった場合は、領収書と診断書を必ず保管して帰国後に請求する。北米や西欧では救急受診1回で数十万円、入院は数百万円に達するため、この備えの有無が旅の後半を左右する。
クレジットカード付帯の保険を頼る場合は、補償が発動する条件(旅行代金のカード決済が必要な「利用付帯」が主流)と治療費用の上限額を出発前に確認しておく。単体の海外旅行保険より治療費用枠が薄いことが多い。補償額の目安と選び方は海外旅行保険の考え方に、持ち物と合わせた確認は出発前の準備チェックシートにまとめた。
症状の伝え方
「いつから・どこが・どのように」の3点を短く伝えるのが基本で、常用薬の英文成分名、既往歴、アレルギーを書いた英文メモを財布に入れておくと、初期診察の時間が大きく縮まる。
翻訳アプリは簡単な依頼なら実用域にあるが、医療の文脈では誤訳のリスクが残る。数字と固有名詞は紙に書く、患部は指差しで示す——アナログな手段の併用が結局は確実である。言語の壁への備え全般は言語とトラブルへの備えに整理した。
早見表の見方
本ページの案内、緊急番号(救急・警察・消防)は国の制度レベルの概要に留まる。具体的な病院名や日本語に対応できる医療機関は、各国欄のリンク先——外務省「世界の医療事情」と在外公館の医療情報——をあたってほしい。
表記「—」は、公的出典に記載が無いか、その国に統一番号が存在しないことを示す(各欄の但し書きを参照)。複数の国にまたがる観光地——ビクトリアの滝、イグアスの滝など——は、経路となる国をそれぞれ確認しておきたい。
パスポートの紛失・盗難や事件・事故など、医療以外で公的な窓口が要るときの連絡先は海外で日本大使館を頼るときにまとめた。