パスポートを失くした、盗まれた、事件や事故に巻き込まれた——旅先で日本の公的な助けが要るとき、窓口になるのが日本大使館・総領事館(在外公館)である。前半は公館が何をしてくれるか、そしてパスポートを失くしたときの動き方。後半は42か国・地域別に、頼るべき公館の所在地・電話・アクセスを早見表で整理した。
所在地・電話・アクセスは各公館の公式サイトを正本とし、手続きの流れは外務省の公式案内を基にまとめた。各国の欄に公式サイトへのリンクを添えてある。
大使館・総領事館が助けてくれること
旅行者が公館に最も世話になるのは、パスポートの紛失・盗難である。失効手続きから新規発給、帰国を急ぐ場合の「帰国のための渡航書」まで、渡航文書に関わる手続きは公館だけが担える。
そのほか、事件・事故や緊急入院の際の現地警察・医療機関に関する情報提供、家族への連絡支援、災害や騒乱など緊急事態での安否確認と退避に関する情報提供、逮捕・拘禁時の面会や弁護士に関する情報提供——「日本の公的な立場から情報と手続きで支える」のが公館の役割である。
一方、治療費・弁護士費用・帰国費用の立替や貸付、ホテルや航空券の手配は公館の役割の外にある。お金と手配の相談先は、海外旅行保険のアシスタンスデスク、クレジットカード会社、旅行会社の緊急窓口——これらの連絡先を出発前に控えておくことが、いざというとき公館と役割分担して動くための備えになる。災害時の役割分担と旅程の扱いは海外で被災したときはにまとめた。
パスポートを失くしたら
まず現地の警察に届け出て、紛失・盗難の届出を立証する書類(ポリスレポート)を受け取る。これが以後の手続きと保険請求に必要になる。次に管轄の在外公館へ「紛失一般旅券等届出書」を提出する。この時点で失くしたパスポートは失効し、後日見つかっても使えない。
そのうえで、新しいパスポートの発給か、「帰国のための渡航書」の発給を申請する。新規発給には戸籍謄本(全部事項証明書)の原本が必要で、日本からの取り寄せに時間を要することがある。帰国日程が迫っているなら、戸籍謄本など日本国籍を確認できる書類と帰国日程の分かる書類で申請できる渡航書の発給を選ぶ。発給までの日数と手数料は公館・申請内容で異なるため、申請先の公館案内で確認する。
どちらの申請にも縦45mm×横35mmの写真がいる。パスポート規格の予備写真を1〜2枚、顔写真ページのコピーと分けて持っておくと、手続きが速く進む。出発前の備えは出発前の準備チェックシートにまとめてある。
兼轄と管轄の読み方
すべての国に日本大使館があるわけではない。大使館の無い国・地域は近隣国の日本大使館が兼轄しており、モンテネグロは在セルビア日本国大使館(ベオグラード)、グリーンランドは在デンマーク日本国大使館、タヒチ(仏領ポリネシア)はニューカレドニアの在ヌメア領事事務所が窓口となる。下の早見表には、その「実際に頼る公館」を載せた。
逆に国土の広い国では、大使館のほかに総領事館が地域を分担している。アメリカ、中国、オーストラリア、ブラジルなどでは滞在地によって最寄りの総領事館が窓口になるため、早見表には国の代表となる大使館を載せ、管轄の注記を添えた。滞在地を管轄する公館は、各公式サイトの案内で確認できる。
早見表の見方
電話番号は国際表記(+国番号)で載せた。スマートフォンならそのままタップで発信できる。開館日・領事窓口の受付時間は公館ごとに異なり、予約制の公館もあるため、出向く前に公式サイトで確認しておきたい。
アクセスは各公館公式サイトの記載に基づく。記載の無い公館は所在地を頼りに——タクシーや配車アプリに住所をそのまま示すのが早い。
体調・怪我で頼る先は大使館ではなく、現地の医療機関と保険のアシスタンスデスクである。国別の緊急番号と受診の入口は海外で体調を崩したらにまとめた。